というわけで、『大喜利ウラワザ集』のパート3です。
ここからの項目では、加速度的にマニアック度が増します笑
めくるめく大喜利の世界にどうぞー!
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ウラワザ6『盲点の特徴』
お題に提示されているキーワードの盲点的な特徴をつくテクニックです。
発想系テクニックの中でも、かなり重要な裏技といえるでしょう。
多かれ少なかれこのテクニックが使えないとオオギリの上達は難しいです。
図示すると
隅っこにある目立たない特徴を探しだすイメージです。
お題:虫に生まれ変わって感じた事
たとえば上記お題の解答を発想する場合、まずキーワード『虫』の特徴をバーッと挙げると思います。
小さい、素早い、飛ぶ、気持ち悪い、卵を生む、鳴く、足がいっぱいある、さなぎになる、葉っぱ食べる
などなど。
ある程度オオギリ慣れすれば、短時間で沢山出てくるはずです。
このテクニックでは、その中でも他の人が思いつきにくい特徴から発想を膨らますわけです。
つまり、盲点をつくわけですね。
では1つ具体例をみてみましょう。
お題:虫に生まれ変わって感じた事
おそらくアディダスの23.5(ホムンクルス)
「人間にみつかると踏まれる」という虫の特性から、解答にリーチしています。
この解答、とあるネットサイトでのものです。
300個ほど並んだ解答で「踏まれる」という特徴を、発想の起点にしてたのはコレだけでした。
このように、他の人がほぼ手をつけない『盲点の特徴』の発見に命をかけるわけです。
もっと解答例を見てみましょう。
お題:子供達が亀をいじめています。叱って下さい
食い物を粗末にするな
遅い、甲羅がある、緑色、四足歩行、海に住んでる、恩返ししてくれる
などなど、亀にもさまざまな特徴があります。
この解答では、そのどれでもない「食物である」という特徴をついています。
単独では盲点と呼べるほど見つけにくい特徴ではありません。
しかし、お題が「亀を助ける方向」に誘導しているため、亀の食物性はやや発見しずらいといえるでしょう。
お題:漫画家同士の恋愛でありがちな事
帰った後に次回予告の電話がある(いしだ)
こちらは大喜利天下一武道会での解答です。
制限時間が数日間あるネット大喜利なら、「次回予告」はいずれ到達する特徴かも知れません。
しかし、3分間の制限時間の中で発見するのは至難です。
このテクニックを使いこなす高い集中力と、平素のトレーニングが光ります。
お題:世界一汚いウンコ
「やっと描けた‥」とペンを置き、画太郎先生は笑顔でスーッと消えてった
キーワード「ウンコ」から「漫☆画太郎が良く描く」という特徴をひっぱり出したわけです。
このように、「盲点を、盲点を」と探し歩いていると、マニアックなところに到着する場合があります
「漫☆画太郎はウンコを良く描く」という事実、どれだけの認知度があるのでしょうか?
男性でマンガ好きの層ならほとんど知っているでしょうが、女性はあまり知らなそうです。
あまりにもマニアックすぎる特徴や専門的すぎる特徴は、誰も知らないリスクがあるので注意が必要です。
ウラワザ7『詳述化する』
解答の細部を詳しく膨らますテクニックです。
さっそく解答を見てみましょう。
お題:新俳句3・3.3で貧しさを表現して下さい
4円 足りず 歩く(やまき)
狙い的には
お金 足りず 歩く
としても成り立つ解答です。
しかし、ここは
お金 → 詳述化 → 4円
と置き換えた方が、貧しさがより醸し出され面白くなるわけです。
さらにもう1例見てみましょう。
お題:紅白歌合戦で同点になった時にやる最後の決着のつけ方
10分間ダンゴムシ早食いレース
(前回記録/赤組:和田アキ子 棄権、白組:北島三郎 2687匹)
「10分間ダンゴムシ早食いレース」だけでも一応解答は成り立ちます。
しかし、それでは造語の力に頼っただけのネタです。
そこで、詳述化をほどこし、前回記録を付記したわけです。
とたんに「北島三郎が必死の形相でダンゴムシをかっこむ姿」がありありと思い描けるようになります。
とまあ、このように具体的な数字を出したりして、ネタの細部を膨らませるわけです。
しかし、あえてボカした方が面白いケースも多々あります。
なんでもかんでも詳しくすりゃあ良いってもんじゃあないんですね。
例えば
お題:これができたら鬼嫁
冷奴を温める(サイトウ)
って解答を、詳述化すると
口の中が溶けるほど高温に冷奴を温める
なんて具合に書くこともできます。
でも、「冷奴を温める」とふんわり答えた方が、淡々と酷いことをする嫁って印象をうけます。
ここらへんの良し悪しの感覚は個人差があるでしょうし、詳述の仕方にもよります。
なもんで、同じ発想を詳述したりボカしたり、いろいろ試して自分なりのベストを見つければ良いかなーって思います。
ウラワザ8『喜怒哀楽プラス』
解答に笑い以外の感情を盛りこむテクニックです。
大喜利は、読み手に『面白い』と思わせることを狙うのが基本です。
が、このテクニックでは哀愁、怒り、悲しみなどの感情を刺激するのです。
プラスする感情は主に3つ。
「カワイイをプラスしたもの」 「酷いをプラスしたもの」 「切ないをプラスしたもの」です。
それぞれ具体例を見てみましょう。
【+カワイイ】
お題:歴史好き女子の最高峰『歴女王』はこんな人
彼氏の部屋ではじめてキスされて、動揺を静めるために「あわわわわっ‥人間50年~」と敦盛を舞ってたら、「何それwwカワイイッw」ってもう一度キスされた
エロかわいいシチュエーションですね。
+カワイイの解答では、全力でかわいさを作るのがポイントです。
声に出すような笑いじゃなく、ほんわかとした楽しさを読み手に与えるわけです。
お次は写真お題での適用例。
お題:写真でひとこと
「僕と幸せな家庭を築こう」ってプロポーズされ、ほわわわわ~んと浮かんできたのがこの絵で「わー、違う違う!」とあわてて消してる
もろにカワイイ狙いですね。
ちょっと天然な女の子がアワアワしてる光景が浮かびます。
上記2解答は「カワイイ女の子」を描いてますが、「小動物」「赤ちゃん」などのカワイさを描くもアリです。
【+酷さ】
一般的にいう、ブラックジョークです。
厳密にはブラックジョークにもさまざまなパターンがありますが、中でも代表的な「シニカルなもの」 「残酷なもの」の2例を見てみましょう。
まずはシニカルから。
お題:「絶望大人ランドってどんなとこ?」
ディズニーランド内部の人間はディズニーランドをそう呼んでいる(つむ山)
うーん、シニカル。
夢の国であるディズニーを、皮肉な方面から解釈してます。
笑点でいうと歌丸さんが得意とするテクニックですね。
シニカル系解答には知的さがあり、生大喜利でやるとインテリイメージを得られます。
では、お次、残酷なもの。
お題:スポーツジムでの恐怖体験
身よりの無い人が会員になると、肉のハナマサに連絡がいく
まぁ、肉にして売るってことですね。
あんまり残酷すぎると読み手がヒいてしまうので、適度なバランスが大切です。
ちなみに私は、一時期ブラックジョークや気持ち悪いネタを追求しようとしたんですが、心が病んできたのでやめました。
このテクニックは、解答者の心を蝕む、諸刃の剣ですね。
【+切なさ】
切ない感情をプラスし、お涙頂戴を狙うテクニックです。
お題:カリスマ発明主婦の遺作
「まるで、着ているだけでみるみる痩せれるパジャマね」 って、ベッドの上で笑った(張Nさん)
思わずウウッと涙が出そうになる解答です。
本来、笑いとは対局にある「切なさ」をプラスすることで、解答にグンと深みが増します。
オオギリってなんて奥深いんでしょう。
ここでは「カワイイ」 「酷い」 「切ない」の3感情をプラスする例を紹介しました。
が、その他にも「懐かしい」 「カッコイイ」などなど足せる感情は沢山あります。
自分のプレイスタイルや性格に合う感情を発見してみるのも楽しいでしょう。
ウラワザ9『面白い絵面』
このテクニックは理屈じゃありません。
面白い絵づらを読み手の頭に描かせる。
それだけです。
高い表現力を必要としますし、特に発想のとっかかりがあるわけじゃないので、とっつきづらいテクニックといえます。
が、ハマりさえすれば笑わせる力はピカイチだと思います。
お題:ゲームセンターで一目おかれる方法
UFOキャッチャーのデカいポッキーよりもデカいポッキー食ってる(リッキー)
なんでしょう、このバカバカしい絵づらは。
UFOキャッチャーのも相当デカいですけど、それ以上なんですから。
「なんだよ、それ!」としかツッコめませんが、とにかく絵づらが面白いです。
ツッコミ不要な圧倒的パワーが必要なんですね、このテクニックには。
なお、この解答にはウラワザ20『同フレーズ繰り返し』も用いられています。
詳しくは後述しますが、「デカいポッキー」という単語をあえてくり返し、よりバカらしさを強調しているわけです。
続いて、もう1つ解答例を見てみましょう。
お題:ハイパー修行僧はこんな修行をする
一日の修行が終わったあとハイパー女子中学生たちに取り囲まれて今日の修行は何が悪かったとかどこがイケてないとかダメ出しされて最終的に謝れとか言われる(リッキー)
これもわけ分かりません笑
なんでそんな状況になったんだよ、っていう。
でも「坊主が中学生から罵倒されまくってる絵」って無条件に面白いですよね。
ウラワザ3「元ネタ利用」のように、特に元ネタがあるわけでもないです。
どこまでもオリジナルな絵面勝負ってわけです。
お題:こんなベンツは弁償したくない
三國無双で関羽が乗ってて、「COOL!」とか言いながら敵味方おかまいなしに轢きまくってる
とまぁ、こんな具合に理屈でボケていません。
理屈を超えたパワーで押し切ります。
というわけでこのテクニック、使いこなすのは難しいですが、そのぶんパワーも自由さも無限大です。
今日はここまで!!
続きはまた今度!