2010年7月2日金曜日

24個のオオギリ裏技集 パート1

「大喜利の技術を体系化したい」
との強い思いから、研究に研究を重ね、つたないながら大喜利テクニック集作りました!
分量にしてだいたい60ページくらい。いやー、時間かかった。

せっかく出来たんで、今日から1週間に1回6ページ分ずつコチラでもアップしていきます。
めちゃめちゃ長いので興味のある方だけお付き合い下さい笑





『24個のオオギリ裏技集

著:大喜利天下一武道会主催 松澤


【はじめに】

この小冊子は、24個の大喜利テクニックを紹介したものです。
発想をひねり出す手法から、すぐに使える小技まで大小さまざまなテクニックを解説しています。
色々な大喜利サイトから評価されてるネタを5000個ほど収集し、1つ1つ丁寧に解答の構造を分析したところ、24のテクに集約されたわけです。
とはいえ、あくまで、わたくし松澤が個人的に分析・研究した結果なので、これが大喜利の全てだーなんて言うつもりは毛頭ありません。
「こんなテクニックもあるのかー、ふむふむ」
「あー、このネタってこういう構造になってたのかー」
なんて具合に、1つの参考となれば嬉しい限りでございます!
なお、この小冊子は主に大喜利ビギナーに向けて書いたので、ベテランの方々には「なにを当たり前な事言ってやがる!」と感じる部分も多々あるかと思いますがご了承くださいませ。

本文で使用している解答は大喜利天下一武道会およびネット大喜利での解答です。
ネット大喜利のネタに関しては、事前に解答者へ利用許可を得ております。
解答後ろ(   )の中に書かれてるのが解答者名で、無記名のネタはわたくし松澤が考えたものです。
天下一武道会で素晴らしい解答をお出しいただいた方々、ネット大喜利のネタ利用に了承頂いた方々、この場を借りて御礼申し上げます。誠にありがとうございます!

最後に。
これ読んで大喜利に興味がわいた方、ぜひぜひ大喜利天下一武道会へご出場くださいませ!
誰でも参加可能な大喜利トーナメントで、第12回大会は2010年9月4日・5日に予選を行います。
出場者192名の頂点にたつのは、あなたかも知れない。
【エントリーは公式サイトから】http://www.oogiri-1.com/entry.html



【目次】

はじめに 
目次 
大喜利ってなに? 
お題に沿う 
大喜利のウラワザ 発想編 
 ウラワザ1「逆」
 ウラワザ2「極端化」
 ウラワザ3「元ネタ利用」
 ウラワザ4「役割固定、場所固定」
 ウラワザ5「俯瞰」
 ウラワザ6「詳述化する」
 ウラワザ7「喜怒哀楽プラス」
 ウラワザ8「面白い絵面」
 ウラワザ9「強い思いこみ」
 ウラワザ10「不条理」
 ウラワザ11「盲点の特徴」
 ウラワザ12「日常に引き戻す」
 ウラワザ13「2重の裏切り」
 ウラワザ14「小ボケ列挙」
 ウラワザ15「お題いじり」

大喜利のウラワザ 表現編 
 ウラワザ16「キーワード省力」
 ウラワザ17「語尾の動詞ひねり」
 ウラワザ18「キャラ目線でのセリフ」
 ウラワザ19「ストーリーに仕立てる」
 ウラワザ20「同フレーズ繰り返し」
 ウラワザ21「蛇足をつける」
 ウラワザ22「リズミカル」
 ウラワザ23「前置き」
 ウラワザ24「パワー単語」

あとがき 




【大喜利ってなに?】

ようは面白いことを言う、ただそれだけです。
が、この面白いことを言うってのが曲者で、んまー難しい。
何をどうして良いものやら。
そこでまず大喜利をしっかり定義づけ、パーツごとに分析していこうって計画です。

この小冊子では、大喜利を以下のように定義づけます。
『オオギリ = お題に沿いつつ、斬新な発想をし、それを的確に表現する技術』

この定義をさらに分解すると
1:お題に沿いつつ(お題に沿う)
2:斬新な発想を(発想力)
3:それを的確に表現する(表現力)
ってな具合で、『お題に沿う』『発想力』『表現力』と3つのパーツに分けられるわけです。

以後『発想力系テクニック』を15個、『表現力系テクニック』を9個くわしく紹介していきますが、その前にまず、大喜利の肝である『お題に沿う』について解説をしたいと思います。




【お題に沿う】

お題に沿う。
これは大喜利をやる上でとても大切な心構えです。
大喜利は
「お題」→「解答」
という構造をしているので、お題が課してる制約に従うこと、つまりお題に沿うことが最低限のルールです。
どんなお題にでも当てはまる解答ばかり出してちゃ、お題の存在意義がありません。
「そんなん、当たり前じゃん」と思われるかもしれませんが、これが結構難しいのです。

具体的に
お題:世界一の戦場カメラマンは、こんなことをする
このお題で沿い方を考えてみましょう。

まず、沿うべき制約は3つあります。
1:『世界一の』という部分 
 世界一と断言してるからには、それなりに凄いことじゃなきゃいけません
 「プロの」でも「ベテランの」でもなく、「世界一の」とお題は要求してるわけですから。

2:『戦場カメラマン』という部分
 たんなるカメラマンではありません、戦場カメラマンです。
 「世界一のカメラマンはこんなことをする」ってお題でも成り立つような解答じゃあお題への沿いが甘いってわけです。 

3:こんなことをする
 「する」と、行動を問うてるわけですから、解答はなんかしらのアクションでなければいけません。
 
以上をふまえ、実際の解答を解説してみましょう。 


お題:世界一の戦場カメラマンは、こんなことをする
「こんな仕事してたら、いつ死んでもおかしくないよなー」って壇ノ浦の戦いあたりからずっと思ってる


とんでもない長寿です。年齢に世界一性を求めたわけですね。
また壇ノ浦の戦いってワードを使い、戦場カメラマンって制約もクリアーしています。
ただし、締めが「ずっと思ってる」ですね。
思うという心の動きが、はたして行動なのかどうか?
その点で「こんなことをする」というお題の制約に沿えているのか、若干疑問が残ります。

そこで

お題:世界一の戦場カメラマンは、こんなことをする
「こんな仕事してたら、いつ死んでもおかしくないよなー」って壇ノ浦の戦いあたりからずっとグチってる


最後を「グチる」という行動に変えてみました。
これならお題に沿えていますし、ボケの本質は崩していません。
もう1つ別解でお題への沿いを解説しましょう。

お題:世界一の戦場カメラマンは、こんなことをする
そんなのある訳が無いのに、笑顔認識カメラを持って行く(俺のランボルギーニ)


シニカルな解答です。
「戦場カメラマン」「こんなことをする」は問題なくクリアーしていますね。
では、「世界一の」という部分はいかがでしょう。
笑顔認識カメラを持っていくだけなのに、世界一なのか?という疑問が湧きます。
実は解答をどのように解釈するかによって、沿えてるか否かが変わります。
仮に、このネタを
「傷ついた市民や兵士さえ、かならず笑顔にさせてから写真を撮るカメラマン。
 だから、あえて笑顔認識カメラを持っていくのだ」
だと解釈したらどうでしょう。
そんなカメラマンは最高な仕事人ですね。
そこまで、このネタが意図しているのなら「世界一の」も文句無くクリアーしているわけです。

というように、お題への沿いを厳密に考えだすとキリがないです、正直なところ。
読み手の解釈にもよりますし。
と言うわけで、個人的には
「ギリギリで沿ってるならOK、ギリギリで沿ってないならそれもまぁOK」って考えてます。
ここはそれぞれ意見が割れるところだとは思いますが。
自分の中で沿ってると主張するだけのこじつけな理由さえあれば、それで「お題への沿い」はクリアーで良いんじゃないかなーってユルく考えてます。

あっ、んでもって、たまにならお題無視するのも一種の手です。面白くなるのであれば。
でも、あくまでたまに。
やはり大喜利であるからには「お題に沿う」は常に意識したいところです。






【オオギリのウラワザ ~発想系~】
では、いよいよ大喜利のウラワザをばんばん紹介していきます!
まずは発想系テクニックから。


        ウラワザ1 『逆』

「通常こうであろうという常識を逆にしてみる」というウラワザです。
とにかく応用範囲が広く、発想系テクニックの中でもとりわけ重要な技です。
さっそく、具体例をあげて解説していきましょう。

お題:合格発表で見かけた病的なほどの喜び方
合格発表の板にかかれてない番号を読み上げていく(よろしく椎茸)


まさに逆で構成された解答です。
合格発表の板を前にしたら、普通は書かれている番号から自分の受験番号を無言で探すものです。
それを逆にして
「書かれている番号」→ 逆 →「書かれていない番号」
「無言で探す」→ 逆 →「読み上げていく」
と、2要素をひっくり返しているわけです。
とたんに、お題が要求している病的さが出ますね。

このようにウラワザ1『逆』では「この状況なら普通こんな事するよね、言うよね」って常識を逆手にとるわけです。
ではもう1つ実例をみてみましょう。

お題:こんな救急車は乗りたくない
黄色でしっかり止まる(ホムンクルス)

見事に逆ですねー。
救急車はむしろ特殊権限を行使して赤信号でもつっきりますから。
「赤信号でも進む」 →逆→ 「黄信号で止まる」
と、常識とは逆に変換されてるわけです。
ここで「赤で止まる」とせず、「黄で止まる」としたところがホムンクルスさんのさすがの技術ですね。
より強く止まろうという意志を感じますし、逆な度合いも高いです。
また「しっかり」って副詞にも止まるぞ!という強い意志を感じます。

ウラワザ1『逆』は、わりと使いやすいテクニックです。
お題で提示されてるキーワードから派生するイメージを、片っ端から逆にすれば良いので。
それでいてとても奥深いテクニックです。

また、このテクニックは写真お題でめちゃくちゃ威力を発揮します。相性抜群です。
例えばこんな写真。

お題:写真でひとこと

警察から逃げてる(ホムンクルス)


まさに逆。
「すごく目立つことをしてる写真」 →逆→ 「目立ちたくない状況」 → 「警察から逃げてる」
と写真の持つイメージを逆に展開しています。
おもわず「逆に目立つだろ!」ってツッコミたくなりますね。


お題:写真でひとこと

サラダを食べ過ぎた翌日のゲロ(ないとくん)

これも逆ですね。
普通、草を食べてると見ますからね、この写真。
とまぁ、このように写真お題は絵が明確なので、とても逆にしやすいです。





       ウラワザ2 『極端化』

「通常こうであろうという常識を極端にしてみる」というテクニックです。
テクニックのイメージを図示すると



ってな感じですね。
さっそく実例を見てみましょう。

お題:世界一の戦場カメラマンは、こんなことをする
「こんな仕事してたら、いつ死んでもおかしくないよなー」って壇ノ浦の戦いあたりからずっと思ってる


世界一の戦場カメラマンってどんな人だろうなー、と考えるとわりとすぐ「危険な現場でも死なない」って発想に辿りつくはずです。
これを更に極端化するわけです
「危険な現場でも死なない」 →極端化→ 「むちゃくちゃ長生き」→ 「壇ノ浦の戦いから生きてる」
と、とっかかりとなった発想をどんどん極端にしていくわけです。


別のお題でも見てみましょう。

お題:世界一汚いウンコ
駅が出来た

まぁ物はウンコですけどなにせ世界一なんですから、見物客が集まってくるんじゃないかなーと。この発想には割とすぐ辿りつけます。
で、それを極端化するわけです。
「見物客が集まってくる」 →極端化→ 「駅が出来た」
極端化の別解として、「高速渋滞の原因」「出店が並んだ」「見世物小屋業者が高値で売買する」などがあります。
いろいろ極端化してみて、一番面白いと思う発想を解答にすれば良いでしょう。


お次は写真でひとことで使ったケースです。

お題:写真でひとこと


研修生(さようなら忍者)

この解答も、見事に極端化を使いこなしています。
研修生がいくらミスを犯しやすいとはいえ、このミスはなんぼなんでも極端です。
この写真のように、極端な物質や状況がモチーフになってる写真は、極端化のテクニックがはまりやすいでしょう。

お題:写真でひとこと

サラダを食べ過ぎた翌日のゲロ(ないとくん)

ちなみにウラワザ1『逆』でもあげたこの解答、『極端化』も利用しています。
いくらサラダ食べ過ぎたからって、こんなにゲロ出ないですから笑
なにげないように見せかけてこの解答、実は『逆』と『極端化』2つのテクニックのあわせ技だったのです。
このように、テクニックは複合して利用することで更に効力を増します。


今回はここまで!
続きはまた後日載せます!!