2011年2月23日水曜日

ハガキ職人ナイト出演者 岡田あづまさん1万字インタビューPART1

2011年2月某日

ハガキ職人ナイトで活躍され、天下一主催の大喜利修業会でも2度の優勝をしている岡田あづまさんにインタビューをいたしました。
ネタ作りの方法論や天下一予選にむけての戦略などなどをお聞きしました。
かなり長いので2回くらいに分割します。
それではご覧下さいませー!



【投稿とネット大喜利の違い】
松澤:今日はよろしくお願いします。
   載せれないところはカットするので、遠慮なくお答えくださいませ。

岡田:はい、よろしくお願いします。

松澤:岡田さんはもともとハガキ職人さんということなので。
   まず、投稿とネット大喜利ってどういうとこが違いますか??

岡田:投稿に関しては責任は全部自分が負わなくて良いですから。
   くだらないものでも良いし、ずらーってハガキ1枚に書いて、よしあしはむこうが決めてくれる。
   悪いとこは書き直してもくれる。
   で、最終的には印刷物なり、喋る言葉っていう強いものになって出てきますから。
   ネット大喜利に関しては、テキストで液晶に出るだけですから難しい気がしちゃうんですよね。

松澤:あー、それは田村Rさんとかに聞いた時にもおっしゃってましたね。   
  パーソナリティーの口から出るのが違うって。
   投稿ってどんな感じでやってるんですか?
   
岡田:そうですねー。
   一番最後にやったのが、少年チャンピオンのチャンピオン投稿コロシアムっていうコーナーだったんですけど、12、3週にわたって展開されるレースを競うんですよ。
   それに週100個くらいネタを送って、2か3採用されるっていう感じで採算が悪い。
   それを12、3週にわたって繰り広げるんで、ランキングにあがろうと思うと結構しんどくて。
   バカサイなんてもっとしんどいと思いますけどね。
   コーナーの入れ替えがそんなに無い中で同じことだけを考えていかなきゃいけないから。

松澤:んじゃあ、みんな毎週何百って数のネタ送ってるんですかね?

岡田:うん、むちゃくちゃな数送ってるんじゃないですかね。
   自分はほんとにお遊び程度に書いたことしかないので。
   そういうのから大喜利に逃れてきてる感じですけど。
   仕事や、生活が有る中で毎週100個くらいのネタ書いて、ほぼボツで、2~3個読まれて5位とか6位とかですから。
   ちなみにこの時は、賞品がゲームソフト1本でピクミン貰いました(笑)
   メール解禁になってから、競争率がグンとあがっちゃっいましたね。

松澤:そう考えると結構違いますねー。
   大喜利だと自分で書いたやつは、必ずみんなの前にさらしますもんね。

岡田:時間をいくらかけても良いってのもありますし。
   ラジオに投稿してた頃はハガキ1枚埋めるのに2週間かかってましたからね。
   気になった言葉をメモして2週間考えて、3週間目にネタとして清書してましたね。


【ネタを書く方法論】
岡田:伊集院さんのラジオでネタ書いてた方法論は、大喜利でも活きてますね。

松澤:たとえばどんなですか?

岡田:やっぱり喋るからオチは最後にあって、そこは発表する時点で自分しか知らない状態を作るとか。
   オチを言う直前にボードを見せれば良いとか。
   あえて間延びさせてそこに期待感を持たせるとか。

松澤:なるほど、なるほど。
   そういうやり方は、ハガキ職人ナイトから学んだ部分も大きいんですかねー?

岡田:そうですね。ハガキ職人ナイトは色んなことを学べた場ですね。
   天下一を総合格闘だとすれば、ハガキ職人ナイトはプロレスって感じなのでそれぞれが持ち味を見せ合う集団競技という面白さがありますね。
   田村Rさんがむちゃくちゃに荒らした場を、僕がキレイにしたりとか。
   僕は言葉遊びとかダジャレ的なネタを使ったりとか。
   あとは分かりやすさを求めるようになりますね。

松澤:言葉のチョイスとかですか?

岡田:はい。
   おしゃれなライブハウスでやるんで、色んなお客さんがいるんですよ。
   ライブハウスを信用して足を運ぶ方もいて、ハガキ職人だけってわけでもないから。
   たとえばハガキ職人の中では、ヘレンって言ったらヘレンケラーのことなんですよね。
   でもサリバン先生が、とかつけないと伝わらないんじゃないかとか。
   全部つけてくとヤボったくはなりますけど、ちゃんとウケるように考えるっていう。

松澤:バランスですね

岡田:天下一においても、同音異義語とかには注意してますけどね。
   雑誌とかに送るんだったらカッコイイ言い回しとか使いますけど、それを口にして伝わりづらいようだったら「とても」とか「すごい」とか伝わりやすいものでやった方が良い局面がありますしね。
   聞いて別のこと思い浮かべちゃって笑えなかったらマズいんで。

松澤:リズムが良いだけでも、面白くなりますもんねー。

岡田:3・4分だとなかなかそこまでやってる時間はなかったりしますけど、極力推敲には時間をかけてますね。
   あと、僕、終盤でダジャレ言うのすごい好きなんですよ。
   結構煮詰まってきた時に、そんなのジャブでやるだろってダジャレを言うんですよ。
   「チリの落盤事故、どうやって助けた?」ってお題に「ばっチリ助ける」とか。


【影響を受けたもの】
松澤:なにか自分の発想に影響を与えたものってありますか?

岡田:サルまんですね。(※「サルでも描けるまんが教室」のこと)
   漫画の技法書でもあるんだけど、どうやって大喜利の発想をするかにも役立ちますね。
   ネタって理屈の組み合わせだから、そんな中でサルまんの中のアイデアの作り方
   1:裏返す 2:拡大 3:ひねる 4:連想 5:組み合わせ
   をやればたいてい出来るんじゃないかなーと。

松澤:そこから派生させてネタを作ってるって事ですね。

岡田:そうです。
   たとえば「大晦日ぐちゃぐちゃ、何があった?」ってお題なら、大晦日に関連する「除夜の鐘」とかって単語を連想していくと。マインドマップのイメージですね。
   「除夜の鐘」とか「年越しそば」とか、どんどん広げていくと。
   そうやって最悪の場合、大喜利やってる舞台でメモ帳に書いてくと。
   それを足がかりに推敲してくんだっていう、緊張する舞台でのおまじないみたいな物ですね。

松澤:いざって時の心の支えですね。

岡田:で、どこかでひっかかる用語がでたら、裏返したり、拡大すると。
   そこまでくれば発想は出来るから、あとは言葉の表現の仕方とかつなげ方を鍛えていくんですね。
松澤:そういう風に、明確なロジックで解答作ってるんですねー。

岡田:ライブだと、お金をいただいて、時間をいただいて、笑うことと聞くことしか出来ない状態にお客さんを追い込んでやるわけなので。
   緊張しちゃうし、うまく出来ないこともある中で、立ち返る場所があると安心するんですよね。
   松澤さんなら、古都ひかるに立ち返るじゃないですか。

松澤:そうですね、いったん大好きな古都ひかるに立ち返りますね。

岡田:僕の場合、何が好きってのがあんまり無くて。
   根っこになる部分がなかったので、サルまんがスッと入ってきたんですよ。
   それ以外の思考の技法書とかも色々読んだりしたものの、コレがシンプルではまりましたね。


【お気に入りのネタ】
松澤:自分のお気に入りのネタってありますか?

岡田:「ご当地双頭ディルド」って回答かな。
   グーグルでご当地双頭ディルドって調べたらヒットしなかったんで、僕の言葉かなって。
   パンナム航空さんがツイッターで「こんな沖縄土産を持ってきた奴の家は米軍に接収されろ」ってお題を出してて、それで僕が出したのは「ひめゆりの塔という名前のご当地双頭ディルド」

松澤:ひどい回答ですね(笑)

岡田:ゆりは女の子同士の絡みで、塔はちんこを意味してて、ぴったりくるかなと。
   で、バイブレーション機能ついてるとどうしても値段は高くなりますから、お土産にするならディルドかと。ロジック的には完璧なんですけど、倫理的にはアウトですね。
   とまあ、お題の全部を活かしてるような回答が好きです。

松澤:修業会で出した「赤かったら嫌なもの」ってお題での「生理用品のCMの青っぽい水」もぴったりですもんね。

岡田:ええ、キレイにはまったんで、割とどこに出しても恥ずかしくない解答かと。
   そういえば、投稿してるとその人の有名なネタとかで話しかけられたりするんですよ。
   「~~」のネタで有名な誰々って。

松澤:そん時って何て呼ばれるんですか?

岡田:「怒張婦人の岡田さんですよね」って言われますね。
   エースを狙え、当時やってたんで。
   田村Rさんには「親孝行したいときに地球無しの岡田さんですよね」って言われました。

松澤:投稿仲間同士ではそういう代表作で呼ばれるんですねー。
   ラジオの中で重複して読まれてたりするんですか、そういうネタって?

岡田:そういうわけじゃないんですけどね。
   1回読まれただけですけど、ヘビーリスナーは繰り返し聞いたりするんで。
   大喜利でもそういうの欲しいですけどね。



【PART2へ続く】